2021年は昨年に引き続き新型コロナ感染が後を絶ちません。タイではかなり2020年感染を防いだ成功例の国の一つとして賞賛されていたものの、ミャンマーからの出稼ぎ労働の人々がコロナを持ち込んだとして非難されております。場所はサムッサコーン県のエビ市場からでしたがどのような背景があるのでしょうか。
ミャンマーで日本とゆかりのある「ビルマの竪琴」
ビルマとは現在のミャンマーのことです。第二次世界大戦後の時代の話で日本兵役として中井貴一さんが主演しました。
「水島~一緒に日本へ帰ろう!」
はとても有名なセリフです。このロケ地はタイだったそうで、当時のミャンマーは治安がとても悪くタイで撮影したようです。
戦争と仏教の話を描いた有名な映画です、機会があれば是非ご覧ください。
サムッサコーン県は日系企業がかなり少ないエリア
タイでは外国企業が進出するにあたって大型規模の工業団地が全国各地に広がっております。今回コロナ感染で有名になったエビ市場のあるサムッサコーン県とはバンコクから西の方角になります。
有名なことといえば、カップヌードルの小エビなどはこのサムッサコーン県にある大きな食品工場で作られているといわれてます。
さらに、この州域で食べる海鮮料理は非常にエビが大きく美味しいのが魅力です。
地域としては、有名な工業団地というものがなく日系企業も少ないです。どちらかというと中国系企業が多く労働者も年配の人々がどうしても働きたいのならこのエリアに来れば仕事が見つかる場所ともいわれます。
近隣各国の出稼ぎ労働者は働き者が多い
タイで働く労働者というものは、タイ人の労働力を奪ってはならないとされております。つまりタイの人々ができる仕事をあえて外人がやってはいけません。特別な能力があるとか資格があるとか必要になります。
ミャンマーやカンボジア・ラオスの出稼ぎ労働者の人々はどちらかというとタイの人々がやりたくない仕事のほとんどを行っています。例えば上の写真のような建設現場。高度成長を続けるタイではしきりに建設が続きますが土日も働いてます。このような現場ではタイの人は管理者ぐらいでそのほとんどがミャンマーなどからの出稼ぎ労働者です。
さらに、大型工業団地ではタイ人の労働を限定していることもありますが例外もあります。このような会社では安い賃金目的にミャンマーなどの出稼ぎ労働者を雇う企業も多くあります。
評判としては、全く悪い話はなくむしろ勤勉で良い。しかし言葉の問題として彼らの言葉を通訳してくれる人が必要になってしまいます。
コロナを持ち込んだと叩かれてもタイの経済を支えている
このように勤勉な彼らは祖国で感染が広がっています。本来ならばタイ入国の際にしっかりとした検査を受ける政府の機関がしっかりしていればよいのですがイミグレがいつもどおりに賄賂を要求して支払いを貰ったので検査不要で入国させたのでしょう。
タイの人々から相当叩かれましたが。それでもタイの人々が単に嫌がる仕事を彼らはやっています。
読者のみなさんからは
「それなら日系企業もミャンマーやラオスに行けばいいのに」
という考えでしょう。
ミャンマーに工場進出を試した人のお話
タイにはたくさんの日系企業が進出しています。
将来的にはタイも人件費が上がり(今でもかなりですが)、近隣諸国に工場を建設しタイはアジアのターミナル的ハブ機能を想定しています。
このため近隣諸国に工場をという考えはとっくにやられています。
非常に困難があるそうです。
まずインフラが整っていない
国の整備として大きな工場を建てるような電気や水道などの国政府がそれらを整備する必要がありますがかなりダメなのだそうです。
このためまず試験的に簡単な小屋を建てます。
電気を必要としない、人力で動かせるようなもの。ペダルをこいで機械が動くような、服をつくるミシンもいい例です。
まずはこのような簡単な作業の仕事から始めたそうです。
労働者が仕事というものを知らない
これが一番の難しさだと聞きます。
会社としての機能がすすまない。まず人々が会社で働いた経験が無いという人が多いのです。
このため、平気で遅刻はしますし、欠勤もざら。雇用したと思ったら来ない。
仕事中にたくさんの従業員が平気で時間中に帰ってしまう。
このため人材教育から始めなくてはいけないのです。
この辺りの話は過去の開拓者の人々からすれば当然の苦労になるのでしょう。
タイの大切な働き手
世界はより高い賃金、より多くの就労機会を求めて自国以外で働くことを希望する人が増加しています。世界銀行の調査によると、2013 年世界全体で約 2 億 4,700 万人の移民労働者がいるとされています。この年の世界人口が 71 億 8,000万人なので、移民労働者は、全人口の約 3.4%を占めることになります。移民労働者を多く出している代表的な国は、インド、メキシコ、ロシア、中国、バングラデシュ、パキスタン、フィリピン等。
東南アジアで見ると、移民労働者は約 2,100 万人で、世界全体の約 10 分の 1。多い順番で、フィリピン(約 600 万人)、インドネシア(約 411 万人)、ミャンマー
(約 314 万人)、ベトナム(約 259 万人)、マレーシア(約 168 万人)、ラオス(約 129
万人)。移民労働者が多くなる背景には、国内経済の不安定さがあり、フィリピンやミャンマーはその典型です。
ミャンマーからの移民労働者約 314 万人を国別で見ると、タイが約 189 万人で全体の約
6 割を占めており、働いている人の出身地は、タイの国境付近であるケースがほとんど
で、いわゆる少数民族に属する人々です。タイに次いで多いのは、サウジアラビアで
、その数は約 60 万人とかなり少なくなります。2 国を合わせると全体の移民労働者の 8 割を占めてます。
ミャンマー経済は高成長を続けているものの、他国と比較して賃金水準はまだ低く、雇
用機会も少ないため、今後も海外で働くミャンマー人の数は減らない見通しです。
引用元:大和総研