あれは学生時代のアルバイトでした。バイトの皆で仕事帰りにファミレスに行こうということになりました。このときは未だまさかこんなことになるなんて思ってもいませんでした。短いお話ですのでお付き合いいただけると嬉しいです。
肝試しはこんなことから始まった
これはもう30年以上昔の話。
アルバイトの仕事仲間でファミレスに行こうということになりました。仲の良い4名で仕事場から近所の24時間営業のファミレスに行きます。他愛のない話をしていると夏ならではの怖い話になります。そのうち1人が心霊スポット知ってるよという話。時間は深夜の1時。今から行くと丁度丑三つ時という心霊現象というか霊的なことがおこりやすい時間帯。まだ眠れそうにないので皆行こうということになります。
車で行くと、山道の途中で駐車場があります。そこに車を停めて少し歩きます。
ちゃんと街燈もついてますので周りは明るいです。なかなか立派なお寺のようです。
山道から商店街のような通りに
街燈があるのでワクワクしながら4名で現地に向かいます。
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このようなメンバーで向かいます。この心霊スポットを知っていたのはもちろんバイトリーダー。
主人公は今まで心霊体験がありませんので期待もしていません。ただでさえ深夜の2時前ではあるものの街燈がしっかりついている山道なので若い世代からすればたいしたことはありません。この4名は男女2名ずつではありますが特に恋愛対象でもなく本当にただの友達。
この門をくぐるとその先は商店街があります。昼間に来ないとわかりませんが日中はお土産屋さんや甘味処のある休憩所のような場所です。さすがに深夜2時では何もありません。あるのは自動販売機ぐらい。
この先にある門が本当の入口とのこと。
この場所で不思議現象が
立派な門があります。ここは夜中は真っ暗で気軽に中まではいれません。この先は高い階段があるのです。
さらにここまでしっかりと足元を照らしていた街燈もここまでです。
バイトリーダーも足をとめます。
しばらく沈黙が続きました。
「あれ?この先は行かないの?」
リーダー「行ってもいいんだけどねー。」
女子A「いやーこの先は暗いし嫌だな。」
この門の先は真っ暗ですが、4名を照らす街燈はここまで。しばらく沈黙が続くと妙に商店街の自動販売機がウイーンと電気で動いている音が聞こえます。
リーダー「この前友達と2人でここに来て、僕が門をくぐって階段を登っていったらさぁ。ここで待っていた友達の叫び声がしてすぐ戻ったんだよね。」
3名は「うんうん」と真剣にリーダーの話を聞きます。あいかわらず自動販売機の電気のウイーンという音がやかましい。
リーダー「何があったの?って聞いたら、今お前がこの先に入っていったらほら!そこの街燈が消えたんだよ!」
女子B「えーこわいー。」
またしばらく沈黙…
すると。
さっきまで気になっていた自動販売機のウイーンという音に変化が。
「ウイーン、うい、ういぃ、うぃぃぃぃ、うぃぃぃぃぃぃ。」
皆で自動販売機のほうを見ます。お寺の門よりも後ろ側のほうになります。
主人公「何か音へんじゃね?普通じゃない音だよなぁ。」
女子A「なんか気持ち悪い、もう帰ろうよ」
ますます自動販売機の音はうねりをあげて何か赤ん坊の泣き声のような音に変化します。
皆はこれはおかしいと判断するまえに出来事は起きた。
最後の街燈が突然消えました。
「?!」
皆で一斉に走りました。
車の停めてある駐車場まで。
このとき主人公は少し冷静に考えます。
他の街燈は消えてない。後ろを振り返るとやはり一番最後の街燈だけが消えている。
駐車場につき、今日は皆もう帰るということに。
【2日目】女子C追加の5名で再挑戦
翌日、話題は昨夜の肝試しのことで大盛り上がり。その日のシフトは可愛い女子Cも入っております。皆の話に興味津々。絶対自分も行きたいと聞きません。
では、昨日と同じ時間帯の深夜2時にあの場所に行こうということになります。
女子C以外はどちらかというと、あまり行きたい気持ちはありません。しかし主人公は疑問をもってました。
主人公「おそらくあの場所の街燈は時間帯で消えることになってたのでは?」
それかはたまた、たまたまあの電球があのときに切れたとか。
それを確かめたかったのです。
さらに女子Cが可愛いので男性2人は当然行く気まんまんです。
そして深夜2時、昨夜と同じ場所です。違うのは女子Cが参加したことだけです。歩いてくる途中で気付きますが一番最後の街燈は消えています。
主人公「昨日の消えた街燈は間違いなくこれだよね」
リーダー「そうだよね」
主人公「昨日はたまたまあの時に電球が切れただけなのかな」
すると、
昨夜突然消えた最後の街燈は突然照明がついたのです。
皆びっくりして一斉にまた走り出しました。駐車場まで一目散に逃げます。
主人公はまたしても、本当かな?と疑問を感じます。振り向くとやはり街燈はついたままです。昨夜は消えて、今日はついた。もしやこの時間帯についたり消えたりを繰り返すだけなのでは?そう思ったのです。
【野郎4名】で3度目の正直
主人公はバイト先で今夜も行こうと誘います。しかし皆行きません。もう怖くて嫌だといいます。
バイトリーダーは行ってもよさげな感じではありますが、女子3名が皆来ないのでまさか男性2人で行きたくもないようです。このため今夜はメンバーを大幅変更です。大学の仲間3名を従えてお寺に向かいます。もちろん深夜2時到着です。
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昨夜までの話を車の中で話をする。
男子A「そもそも、なんでバイトリーダーは男友達2人でこんなとこきたの?」
主人公「よくここに来て駐車場でお弁当食べてるらしいよ」
男子C「こんなお寺の山の駐車場で?そいつ何かおかしいんじゃ(笑)」
駐車場に到着し、男性4名で昨夜の場所まで向かいます。今回は男だけなので特に何もおきそうな雰囲気さえもありません。
そして、問題の街燈が見えました。昨夜のまま街燈はついてます。明るいです。
男子B「この街燈が消えたり、ついたりしたんだよね」
主人公「そうそう」
男子B「ふーん」
男子3名(もう興味なさそう)
主人公は気づきました。
その場所に近くに設置してある自動販売機。音がほとんど聴こえないぐらい。
主人公「自動販売機の音が。。。いや、この2日間はもっと何か変な音だったはずなのに。。。」
時間帯でついたり、消えたりも確認するためしばらくその場所にいます。しかし何も起こりませんし街燈も変化なく我々を照らしています。
男子A「じゃあ、もう帰ろうか」
主人公「そうだね、帰えろう」
男子B「ま、何もなくて良かった」
男子C「あーなんかわかった気がする」
主人公「え?何がわかったん?」
駐車場までの帰り道。2日続けて走って帰ったものの最後の3日目は男4名でダラダラと歩く。
男子C「バイトリーダーだよ。彼が霊感が強すぎて呼んだのかと思うよ。今日は何も起こらなかった。俺ら4人とも何も霊感ないからね。もともと夜中のお寺の駐車場で弁当食べるじたいおかしいけど(笑)」
これは学生時代の一つの思い出。
あれからしばらく月日が経ち、このお寺に初詣に来ることになりました。
初詣ではあの門をくぐった階段をのぼって、お寺にはいります。おみくじを引いたり、鐘をついたりします。
あの階段は登り専用で、帰り道は他のなだらかな道を歩くのです。すると写真のような景色の場所に。
そこは水子供養の場所でした。
もしかしたら、あの自動販売機は赤ん坊の泣き声そのものだったのかもしれません。
最後までお読みいただきありがとうございました。
それではサワディーカポン。