タイは肉を食べるといえば鶏肉がもっとも人気で美味しいです。日本人なら同感すると思いますがタイの豚肉は臭く、牛肉はゴムのようで旨くないとも言います。しかし鶏肉なら間違いなく美味しいでしょう。ここでは現在日本が鶏肉不足といわれている現地タイの状況をお伝えします。
コロナ影響で人手不足は全般的な問題
デルタ株の影響で急激に感染者数の増えだした7月ごろからでしょうか、各企業では懸念していたクラスターがあちこちで発生しました。当時はあまりにもあちこちで発生するのでニュースにもとりあげられない勢いでした。政府もサプライチェーン影響を考慮して連鎖的に経済が止まってしまうことを恐れて何も操業を停止する命令もほとんどありません。
それでも実際は会社の従業員が不足しました。感染者のみならず、疑いのある従業員は隔離措置をとり、PCR検査の結果をもって出社を許可。ピーク時には政府の指定もあり、2回目のPCR検査の陰性をもって出社を許可するなど徹底されました。
これらの効果があったせいか徐々にクラスターの話はなくなっていきました。感染者も減少傾向にあり、休ませる従業員もいつの日か疑いがあっただけで実際は感染していなかったという人が増えてきました。
このようなことがあったために、企業によっては従業員が退職するケースもおおいにあります。
輸出・輸入に必要なコンテナの不足
鶏肉不足には人手不足もあると思いますが、港の人手も不足してます。輸出・輸入においてこの人手不足から物の移動が遅延をおこします。この現象は荷物の移動を必要とするあちこちの拠点でコンテナが欲しいのにかえってこないという事態に連鎖していきます。
この輸出・輸入に使用するコンテナは世界的現象で起こっておりいつものような搬入スケジュールで物が動かないので予想できない遅延が発生してます。
日本を代表する冷凍食品も影響
味の素冷凍食品が9月中旬以降、家庭用・業務用タイ製品を在庫に応じて順次休売とする方針をだしている。家庭用から揚げ商品としては大型商品とのことで大きな影響となっている。
このことはニチレイも同様のことを実施しておりニチレイタイランドでも9月中旬以降休売を見込んでいる。原料・労働不足、コンテナ不足が理由である。
この人手不足は理由あり
タイではこのニュースの前にある事件がおきている。バンコク西部にあるサムッサコーン県のエビ市場で早い時期に感染クラスターが発生した事件である。この事件は、市場で働く人が主にミャンマー、ラオス・カンボジアなどの働きてであった。このコロナ感染を厳しく監視していた最中、ミャンマーからはいってきた人々によるコロナ感染者が発覚し市場内でクラスターが発生。たちまち、バンコク・サムッサコーンは感染者が急増した。
当時はある意味タイ王国はコロナ感染防止に成功した国としての評価が世界的にも高かったがこの事件をきっかけに急落。
このあと、デルタ株の流行がタイにも上陸することでたちまち感染者は普通に毎日1万人超えの日々が継続。一時は2万人まで増えたものの今日では1万人前後に落ち着いてきたという流れである。
最近になってバンコクの住民70%がワクチン2回目完了というニュースがあり、このあたりの要因が感染者の減少に効果を与えている可能性がある。
落ち着いてきたように見えるタイ国内であるが、今でもミャンマー・ラオス・カンボジアの人々が労働するにあたっては何か働きずらい環境が出来上がってしまっている可能性はある。この人々の仕事というのはタイの人々が嫌う仕事を補っていることが多い。土日の休みの日に働く建築業界、汚い仕事の食品製造業など。ある意味タイ国を支えてきた人々とも言っても良いであろう。
本当に鶏肉不足?
日本のニュースでは鶏肉不足といわれているものの、タイ国内では鶏肉不足という話はまったくない。それどころか何か食品流通で問題あるかといえばガソリン代が高くなったということぐらい。
現在はワクチン接種もすすみつつ、労働力も戻りつつある。経済回復の見込みもあるものの現在心配とされているのが洪水問題。
世界で見ればタイの鶏肉生産量・輸出量はさほどでもない。
お買い得商品とも言われる、日本の安くて美味しい冷凍食品がスーパーの棚から一時的に消えてしまうので目立つと思われます。しかし表のとおり日本のタイ産加工鶏肉はそんなに多くもない。
それでも、「無い!」と言われると食べたくなるのが人ですよね。
タイ産鶏肉不足の影響でとても美味しい日本国内産の鶏肉に経済効果が期待されるかもしれません。